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夢見るたまご 2

恋人のマクワが仕事で預かってきたポケモンの卵、
それを入れた孵卵器をオレがうっかり横倒しにしてしまい、床に落ちていたマクワの髪の毛が機械に入っていた事に気付かず卵が変異した結果生まれた、
人間であるマクワの遺伝子とドラパルトの卵が融合した手乗りサイズの可愛いドラゴンハーフ。
オレはこいつにチマと名付け、育てている。
今回は日常の隙間時間に書き溜めた、チマの成長の記録をここに公開していく。
と言っても、ただの可愛かった記録みたいなもんだがな。



1月2日
チマ用の毛布として膝掛けを買ってきた。
テーブルに敷いてチマを連れてくると膝掛けの上に乗っかってコロコロ転がったり包まったりして遊んでいる、かわいい。
お包みみたいにしてモフモフしてやると、気持ち良さそうに寝だす。
今日からこれをベッドにセッティングしてあげよう。

1月3日
おにぎりを作って皿に並べていると、テーブルの上でそれを見物していたチマが真似っこするように三角座りしている、かわいい。
チマ用に小さなおにぎりも作ってやる。たらこが好きなようだ。
食べてる時に指を近づけてみたところ、パクッと噛まれてしまった……これはこれで嬉しいぞ!

1月4日
今日は研究所にチマを預け初詣に行った。
チラホラと雪がちらついていたので迎えに行く前に雪に似たお菓子を買って帰宅後食べさせてみたら、そのお菓子が窓の外に降っていたものと同じ物だと勘違いしたらしく、
その後窓の外の雪をきゅるきゅる鳴きながら目を輝かせて見ている。お外にお菓子いっぱい降ってて楽しいな。

1月5日
昨日の晩御飯の残り物に火を通していると、隣に来て一緒に鍋を見つめだした。
「食べたいか?」と聞くと嬉しそうにキュルルっと鳴く。
一口分スプーンに乗せて差し出してみたらパクリと食いついた、とろけるチーズを乗せていたのでよく伸びる。
未知の食感だからか、一口食べる度に不思議そうに唇をペロペロしている。味は気に入ったようだ。

1月6日
チマはおもちゃで遊んだりするんだろうかとポケモン用のおもちゃをいくつか買ってみた。
ポケじゃらしのふわふわの羽の部分を抱きしめてモフモフしている。もしかしたらぬいぐるみとかの方が好きなのかもしれない。
あとはボール遊びかな?

1月7日
チマが最近飛ぶ事を覚えてきた。
まだ数分もすると疲れるのかやめてしまうがなるほどドラパルトのハーフだというのが納得の飛行スキルの片鱗が見える。今度動画でも撮ろう。

1月8日
ショートケーキを与えてみる。
チマは小さいからケーキのイチゴも両手でりすポケモンみたいに抱えながら食べる。
自分と同じサイズくらいの1ピースをペロリと平らげてしまった。
倍の量を食べても平気そうな勢いだが、もう半ピースだけあげてやめさせておく。

1月9日
テレビをつけてみるとちょうどお正月番組をやっていた。
『新年あけましておめでとうございます!』と言いながら傘をくるくる回して上でボールを回す芸が気に入ったらしく、
後でそういう動画を見せてやると、夕方くらいまで夢中で見ていた。渋い趣味してんなぁ。

1月10日
庭にチマを出してみる。
ツツジの花にしきりに興味を示すので、花をひとつ摘んで渡すと、
根本を舐めて蜜をすすっている、かわいい。チマの舌がちょっとピンクっぽくなってる気がするが大丈夫なんだろうか?

1月11日
前日よりも降った雪が積もっていたので、お盆に盛って部屋に持ち込みチマに見せてみる。
真っ先にやる事が食べるだったのが人間の子供と変わらないなと、マクワと二人で笑った。
雪の結晶を拡大出来るレンズで見せてやると不思議そうにしていた。
ドラゴンタイプは寒いのが苦手なんだが平気で雪遊びをするチマは、やっぱりマクワの遺伝子が入っているだけあってこおりに適性があるのかもしれない。

1月12日
チマがオレの肩に乗って耳元でキュルーンと声を出している、どうやら甘えているようだ。
チマは鳴き声の他に人間の言葉を真似した声を発する事があるので、
簡単な言葉を教えてみたくなり色々話しかけてみたところ、キュッ、クルッ、プゥーッ、という返事が返ってきた。
オレの真似をしているつもりらしい。可愛い奴だ。

1月13日
チマが朝からソファに座っているオレの足の間に入り込んできて、オレの足をアスレチックみたいにしている。
一生懸命なのを見守っていると、オレの膝の上に立ってバンザイをしている。そこが頂上らしい。

1月14日
今日はチマの誕生日! ケーキを買って帰って来た。
お誕生日おめでとうと名前が書かれたチョコプレートが気に入ったようだ。
プレゼントにはガーゼ生地の柔らかいぬいぐるみをあげた、ぬいぐるみにもケーキをあげようとしていてかわいい。
夜には一緒にベッドに入って寝ていた。

1月15日
買い出しに行って帰宅し冷蔵庫に買った物を入れていた時、チマがダイニングテーブルの上の芽キャベツを見つめているので一個与えてみた。
夢中でめくりだすがめくってもめくってもどこまでも芽キャベツなので不思議そうだ。
とうとうめくり終わってしまいまた不思議そうにする。そういう食べ物なんだぞ。

1月16日
今日はチマを連れてマクロコスモスの研究所がやってる定期検診に行った。
待合室では診察券を入れたポーチを抱きかかえて大人しく待っている。
受付を済ませて呼ばれるのを待つ間、オレの上着の裾を掴んで離さないので、そのままずっと握らせておいた。
内科的な検診の他に体重や角の状態、尻尾の長さなども測られる。手乗りサイズだからかキッチンスケールで体重測定されていてかわいい。
結果は特に問題なし。健康体そのものだと言われた。
帰り道にいつものケーキ屋さんで予約したケーキを受け取る。
帰宅後チマは箱から出てきたケーキを見て嬉しそうにキュルルっと鳴いていた。

1月17日
テレビのチャンネルが目まぐるしく入れ替わるので何かと思ったら、チマがソファーに置きっぱなしだったリモコンで遊んでいた。
何にでも興味を持つのは大変よろしいが、音量ボタンを押されたらえらい事になりそうなので電池を抜いておく。
電池が入っていないチャンネルの変わらないリモコンでも夢中で遊んでいるので、どうやらボタンを押す事自体が楽しいらしい。

1月18日
マクワが新聞を読んでいるのをチマが不思議そうに眺めている。
しばらくすると、マクワはテーブルに新聞を置いてその上にチマを乗せていた。
マクワが文字を指でなぞりながら新聞を読むのを真似して、チマも適当な欄の文字を手で撫でている。
マクワがそれを見てクスクス笑っていた。どっちもかわいいなぁ。

1月19日
チマがテレビを食い入るように見ている。どうやらアニメが始まったようだ。
チマは画面を指差して「あ」とか「うぅ?」とよくわからない声を上げているが、
たぶんこれは人間の言葉を理解しようとしているんだろう。
チマが理解出来るようになった時に、ちゃんと教えてあげられるようになっておかないとなぁ。

1月20日
チマがいつも一緒に寝ているお気に入りのぬいぐるみにしきりに話しかけている。
どうやら最近オレ達の会話やテレビを真似して言葉を覚えようとしている復習をチマなりにやっているようだ。
歌とかもその内真似するようになるだろうか?

1月21日
庭で雪遊びをさせてみると、チマは雪玉を転がしたり投げつけたりと大興奮。
雪合戦ごっこをして遊び始めたので、雪まみれになって遊ぶチマを撮影する事にした。
雪に映える淡い色の髪と、フロストガラスのようなツノがとても綺麗だ。
家に戻ってココアを作ってやると、それに浮かべたミニマシュマロを大層気に入っていた。今度お菓子作りに挑戦してみようかな。

1月22日
チマの角の先っぽを軽くつまんでみる。
キュッと鳴くので痛かったのかと思い手を離すと、キュルキュルキュルーっと甘えたような声で鳴き始める。
スリスリと撫でるように角を触ると気持ち良さそうに目を閉じる。どうやらお気に召したらしい。
ガラスのような見ためだけど、角は意外にもほんのり暖かい。

1月23日
チマがベッドの上で仰向けになったオレの腹筋に手を伸ばしてくる。
何をするのかと見ていれば、オレのおなかをポヨンポヨン叩いている。
オレが笑うと腹が振動するのでハッとして真剣な顔で腹を見つめてくる。
へそに手を入れようとしたので止めた。お返しにチマの腹を指でくるくる撫でてやると、キャッキャと喜んでいる。かわいい奴だ。

1月24日
今日は朝からご機嫌で鼻唄を歌い出した。一緒に歌ってみると尻尾をフリフリして嬉しそうにする。
きらきら星の歌を教えてみると、メロディを少し覚えた。スマホで録画してみる、定期的に撮れば歌を覚えるまでの記録ができるかな?

1月25日
チマの好物のミルク粥を作る。オレがフーフーして冷ましていると、チマも真似してフーフーしている。
かわいすぎてロトムに撮影を頼んだ。
そうやって食べさせていると、それを眺めながら食事していた恋人のマクワが口をあーんとさせてくるので、チマとマクワに交互に食べさせることに。
しばらくしてマクワが悪戯っぽく笑うので、オレはドキドキした。チマは不思議そうな顔で粥をもぐもぐしていた。

1月26日
今日はチマと一緒に風呂に入る事に。洗面器の中に湯を張ってやるとお湯をパシャパシャ跳ねさせて遊んでいる。
洗い場に連れていくと、石鹸をシャカシャカ泡立てて遊びだした。髪を洗うチマの頭が泡でアフロみたいになって、かわいさに笑ってしまう。
洗い終わってドライヤーも済ませさっぱりすると、チマは自分のベッドの上で満足げにコロコロしている。
おやすみと言うとチマがオレを見てニコッと笑う。籠ベッドの中でウトウトするチマを撫でていると、眠ってしまった。
オレも自分のベッドに入り、既にオレ達より先に寝ているマクワを抱きしめて、籠ベッドから聞こえてくる小さな寝息を子守唄にうとうととして、瞼が重くなって……満足した気分で眠ったんだ。





「……っていう夢を見たんだよ!」
「またですかキバナさん」
「前にチマが生まれた夢の続編だったなぁ……あーオマエに似た手乗りサイズの可愛い生き物マジで育てたい」
「まあ理論上は人間の遺伝子と混ざったポケモンが産まれる可能性はあるらしいですけど、あくまで可能性の話ですからね?」
「知ってるよぉ……あ~チマに会いたいなぁ……」
「あんまり夢の中の生き物にかまけていると、ぼくやきもち妬いちゃうな」
「えっ!? マクワってヤキモチ妬くタイプなのか!? ちょっと待ってくれ、それは予想外だぜ!!
「ぼくあなたの恋人ですよ?ヤキモチくらい妬きますって」
「へぇ〜そうかそうか…ふふふ」
「……嬉しそうですね」
「そりゃ嬉しいさ! だってあのマクワが嫉妬してくれたんだぞ? 愛されてるなーオレさま幸せ者だなーと思ってさ」
「……ばか」
「おっと照れたな? かわい〜」
「うるさいですもう知りません!!」
マクワがプイっとそっぽを向く。
なんだかんだでオレは毎日幸せだ。