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夢見るたまご 3

冬の小春日和に、ポケモン達が仲良く日向ぼっこをしている。
窓際でウトウトしている子達はチマとチキ。
訳あって親のいないポケモンの卵に、僕と恋人のキバナさんそれぞれの遺伝子が融合して生まれたドラゴンポケモンと人間のハーフ。
ポケモンの研究機関に許可を貰ってうちで育てている。
ぼくに似ている方が、ドラパルトのハーフで名前はチマ。
キバナさんに似ている方がオンバーンのハーフでチキ。
“ち”いさい“マ”クワのチマと、“ち”いさい“キ”バナのチキ。
どちらもキバナさんが名付けている。
今日はそんな二匹の成長の記録を少し紹介してみたいと思います。
まあ、ほとんど日記みたいなものなのだけど。

2月1日
今日の朝はかなり寒い。
布団から顔を出したチマが震えた声できゅんと鳴いて布団の中に引っ込んでいき、 なんだが可愛くて思わず笑ってしまった。
雪遊びの時なんかの寒さとかは平気みたいだけど、朝はお布団に居たいよね。
チキは寒さが苦手でそもそも布団から出てこないのでそれもまた可愛い。
籠ベッドごと居間に連れて行き、 布団の隙間から外を覗いている二匹に見えるようにドーナツをチラつかせるとそろそろと出てきた。

2月2日
二匹にみかんを剥いてあげると、 一粒ずつむしって汁をちゅうちゅう吸っている。
たまに粒ごとぱくりと食べるけど、種はちゃんと分けているから偉いなぁと思う。
「きゅー」
と鳴くチマにもう一個剥いてあげようとしたら、 横からチキがぱっくりとみかんを咥えて奪っていった。
チマがショックを受けて固まっていると、チキが慌てて謝ってぺこりと頭を下げていた。
仲良しだね、と言うと照れ臭そうにもじもじする姿がとても愛らしい。

2月3日
つけっぱなしのテレビで流れていた太極拳の体操動画を見て、 チキがソファーの上で真似っこをしている。
キバナさんがチキの真似っこをして遊んであげるのはいいのだけど……足元にあった加湿器を倒して床が水浸しに。
キバナさんは自分のサイズを考えて。

2月4日
チマがツボツボの甲羅の穴に入り込み、呼んでも出てこない。
ツボツボに説得してもらってなんとか出てきたけど発酵したきのみの汁やら何やらでベトベトになっていて、 まだ形が残っている発酵きのみを食べていた。
おかげで酔っ払ってしまう。
フラフラして危なかしいので酔いが覚めるまで半日くらい抱っこしていた。
その間何か気持ち良さそうにふにゃふにゃ歌っていた。

2月5日
チキとチマに鉛筆を渡して、机に敷いた紙にお手本に⭐︎や♡など描いてみせると真似してお絵描きしてくれた。
鉛筆と変わらないくらいの体長なのに、 鉛筆を抱っこするように持っては器用に紙に滑らせている。
上手だねと言って褒めると嬉しそうな顔をしてくれるので、 なんだかこちらまで嬉しくなってくる。

2月6日
昨日から風邪を引いたらしくキバナさんの調子が悪い。
二匹も心配しているらしく、 ベッドで寝るキバナさんをサイドチェストの上の籠ベッドから覗いてそれぞれ、きゅ〜、ぎゃう......と鳴いている。
夕飯時にぼくがキバナさんにお粥を食べさせようとフーフー冷ましていると、二匹が真似してフーフーしていてかわいい。
二匹にもお粥を食べさせてみると、結構好きみたい。 特にチキはスプーンを離そうとしない。
二匹とも美味しそうに食べてくれたので、今度から誰かが風邪を引いたら皆でお粥を食べる日にしようかな。

2月7日
知育玩具とか与えたら遊ぶんじゃないかなと思って、 沢山あるボタンを押すとさまざまな音がなるボードを二匹にあげてみた。
楽しそうに遊んでいて良かったけど、だんだんとリズム性を求めだし最終的にDJみたいになっていた。

2月8日
キバナさんが今日は朝から体調が良く、リビングのソファーに座ってぼーっとテレビを見つめている。
チマがキバナさんの膝の上に乗ってきてキバナさんに撫でられながらゴロゴロと喉を鳴らしていて、 時折思い出したようにきゅん!と鳴いている。
その度にキバナさんが「おう」とか「おお、よしよし」など相槌を返していた。
仲が良いなぁ。

2月9日
朝起きたら、二匹の様子がおかしい。
いつもより甘えてくるし、ずっとくっついている。
どうしたのか診てみると、風邪を引いているようだ。
体温計で測ってみたところ、37.5°Cだった。
オレのが移っちまったかなとキバナさんがしょんぼりしてるけど、 食欲は旺盛で二匹ともお粥をパクパク食べているのでまあ大丈夫だと思う。

2月10日
二匹をマクロコスモス研究所に連れて行き、風邪を診察してもらう。
ちっちゃな二匹用のすっごく小さな薬を処方してもらった。これならきっと飲みやすいだろう。
最近忙しかったから二匹と落ち着いて過ごせる時間も作りたいなぁと思う。

2月11日
今日は風邪が治って朝早くから仕事に出掛けたキバナさんを見送り、 ぼくは病み上がりの二匹がぶり返さないよう大人しくするように言いつけて見張っている。
絵本を読んであげると、本に出てくるパンケーキに目を輝かせて食べたそうにしているのがとてもかわいくて、作ってあげた
昨日は風邪薬が苦いのかイヤイヤするので説得が大変だったけど、 今日試しに錠剤にメープルシロップを少しかけると、あっさり飲んでくれた。

2月12日
今日はぼくが仕事でキバナさんが家にいる。 夕方になって帰ると、チマとチキがリビングのソファーの上で毛布にくるまって丸くなっていた。
何があったんだろう?と思いつつ近づいていくと、 もぞりと動き出し、バアっとしてきた。
驚いてあげると嬉しそうにはしゃいでいて可愛かったけど、一連の様子をキバナさんに撮られていた。 後で送ってくれた動画を見ると、二匹がかわいく写っていた。
でも盗み撮りについては叱った。

2月13日
バレンタインデーなのでチマとチキに、キバナさんと二人で作ったチョコチップクッキーをプレゼントした。
ホットミルクも作ってあげておやつタイムに。
クッキーとミルクを一緒に口にしたチマが尻尾をプルプル振るわせている。
美味しい時の仕草だ。
チキは豪快にクッキーをバリバリ食べている。

2月14日
チマとチキを植物園に連れていく。
人間のハーフの二匹はポケモンとしてはイレギュラーなので基本外には出せないけど、 マクロコスモス研究所管轄の施設だけは一般人の目に触れないので気軽に二匹を遊びに行かせてあげられる。
二匹とも珍しい植物に興味津々といった感じで、色んなものを見てはキャッキャとはしゃいでいる。
花壇に咲いていた花々に顔を近づけて匂いを嗅いだりしていた。
売店で植物図鑑を買って帰ると、家に着いてからは二匹で何か会話しながら図鑑を読んでいるみたい。
また行こうね。

そんな感じでぼく達は、日々を過ごしていた。
今二匹は窓際で、夜に変わっていく夕方の空を寄り添って眺めている。
「もうすぐご飯だよ」と二匹に声をかけると、 仲良く揃ってきゅ〜ん、ぎゃうきゃうと返事してくれた。
今日の夕食はカレーライスだ。
チマは鶏肉がたっぷり入ったチキンカレーが大好物らしく、 もりもりおかわりしてキバナさんを驚かせていた。
チキも負けじといっぱい食べて、気がつけば二匹ともお腹がポンポンだ。
いっぱい食べて、ぐっすり眠る、二匹の毎日は、穏やかで幸せそのもののように思えた。
明日も元気に過ごそうね。

こんなところかな。
続きはまたの機会にでもお話しましょうか。
それではみなさん、また今度。