夢見るたまご 4
暖かくなってきたこの頃、ポケモン達も少しずつ活発になってくる。
ソファーの上でぽよぽよ跳ねて遊んでる手のりサイズのお人形みたいに可愛い二匹の生き物はチマとチキ。
訳あって親のいないポケモンの卵に、オレと恋人のマクワそれぞれの遺伝子が融合して生まれたドラゴンポケモンと人間のハーフ。
ポケモンの研究機関に許可を貰ってその二匹をオレの家で育てている。
マクワに似ている方が、ドラパルトのハーフで名前はチマ。
オレに似ている方がオンバーンのハーフでチキ。
“ち”いさい“マ”クワのチマと、“ち”いさい“キ”バナのチキ。
どちらもオレが名付けた。
今日もチマとチキの成長日記の一部を紹介していこう。
3/25
ナックルシティの街路樹の花も徐々に咲き出してきた。
低木の上に落ちている花びらを数枚拾ってお留守番していたチマとチキに見せてみると、花びらを器用にフーフーと息で吹き上げて遊んでいる。
落としたらアウトというルールらしい。
二匹はきゃっきゃっと楽しそうに笑っていた。
3/26
チマが時計に耳を当てて「こ、こ、かち、こ」と時計の音マネをして遊んでいる。
しばらくしてチキにそれを披露するとチキがこくこくと頷いて、それから二匹で時計に耳を当てている。
しばらくすると今度は二匹で秒針の動きを指で追っていた。
どうやら時計の動きが不思議なようだ。
3/27
応接室兼ポケモン達用にしている部屋に棚を設置してみた。
チマとチキのおもちゃなどを仕舞ったり、棚自体を遊び場にできるだろう。
棚の段ごとに物が落ちないようなガードを取り付けてミニチュアの家具を置いてみると、
二匹にちょうどいい小部屋みたいなスペースが出来た。
早速チマとチキが小さな手で棚をぺたぺた触っていて可愛い。
この空間が気に入ったようで、しばらくそこで遊ぶことにしたようだ。
3/28
朝から雨だ。
天気予報では晴れのち曇りだったのだが、雲行きが怪しいと思った。
チマとチキが窓際で、窓にあたる雨にタッチして遊んでいる。
雨粒を捕まえようとしているんだろうか。
しばらく楽しそうにしていたが、冷えてきたらしく自分たちの籠ベッドに潜り込んでもぞもぞしている。
寒さに弱いのはやっぱ半分ドラゴンタイプの血があるからか。
3/29
昨日の悪天候が嘘のように快晴になった。
天気が良いのでバルコニーに出て、ポケじゃらしを使ってチマとチキの相手をした後マクワと二人で作った菓子でアフタヌーンティーと洒落込んだ。
マフィンを頬張るチマの頬についたクリームをチキがペロっと舐めるとチマがくすぐったそうに笑う。
そんな微笑ましい光景を見ていると心が癒される。
と、「ついてますよ」と言って、マクワが俺の頬を指差した。
「え?どこ?」と聞くと、マクワは少し照れ臭そうな顔をしてから自分の口元をトントンと叩いて見せた。
「ここですよ」と言いながらマクワの顔が近づいてくる。
そしてそのままオレの唇の端についていたクリームを舐めた。
マクワは顔を赤らめてすぐに離れようとしたが、オレはそれを引き止めてキスをした。
「……甘ぇな」
「あーもう!そういうところです!」
そう言ってオレの腕の中から逃げようとするマクワを逃さないようにぎゅっと抱きしめると、
観念したのか大人しく腕の中に収まった。
「あのキバナさん......」
「何だよ、逃がさねえぞ?」
「おチビ達が見てます......」
「......見〜た〜な〜?」
マクワから手を離し、お菓子を食べる手を止めてマジマジとこちらを見るチマとチキを掬うように持ち上げて二匹の頬にチュッチュとキスしてやると二匹はキャッキャと笑ってはしゃぎ、
マクワは照れ隠しかちょっと呆れた風に微笑んだ。
3/30
チマとチキがテレビの前に座ってサファリゾーンを散策する番組を見ている。
野生のポケモン達の姿を見ると、チマが目を輝かせて食い入るように見ている。
チキは時折あくびをしている。
しばらくするとチマがくーくーと、野生の鳥ポケモンの鳴き真似をしている横でチキはうとうとしていた。
性格が出るなぁ。
3/31
二匹の遊び場にしている棚にちっちゃなブランコを設置してみた。チマとチキが早速それに乗っかって楽しそうに揺れていた。
ブランコに揺れながら歌を歌うチマがなんだかミュージカルの主人公みたいだなと思った。
可愛かったのでロトムに撮影してもらう。
4/1
天気が良いので以前行ったマクロコスモス管轄の植物園に二匹を連れて行った。
チマとチキは人間のハーフという普通のポケモンでは無いので一般人の目には触れさせられないが、
マクロコスモスの研究所を兼ねている場所で結構遊べる施設があるのがありがたい。
植物園内の日の当たる庭園でチマとチキが楽しそうにふよふよと浮遊している。
花に囲まれてダンスする二匹をマクワと二人、ベンチに座って見守る。
やがて満足した二匹がオレ達の膝の上に降りて来て、気取ったポーズでお辞儀した。
「フフ、ダンスやお辞儀なんていつ覚えたんだろう」
「多分この前見た映画のDVDですよ」
「ああ、あれか。確かに真剣に見ていたもんな」
そんな会話をしながら前来た時のシーズンには開花していなかった春の花のコーナーを見たりしてその日は一日遊んだ。
4/2
二匹が子供向けの工作をする番組を見て興味津々だったので、フェルトや紙テープなどをあげてみる。
最初は手探りという感じだったが、段々と夢中になっていった。
チマはオレの顔をデフォルメした貼り絵を作り、オレにプレゼントしてくれた。
チキはマクワが好きなポケモンの絵を描いていた。
マクワがそれを受け取ると、チキが照れ臭そうにしている。
「とても格好良く描けていますね、ありがとう」とマクワが言うと、チキの顔がパァッと明るくなった。
マクワはその顔を見ながら、チキの頭を優しく撫でてやっていた。
4/3
今日はチマと一緒に風呂に入る。
チマはオレの身体を洗うのが好きらしく、背中を小さなスポンジで一生懸命洗ってくれる。
流石にオレの体を全部は無理だからチマの気の済むまでで身を任せる。
お返しにチマの体も優しく洗ってやった。
チマが生まれた日にもこうして......あの時は生まれたてのチマの体に付いてる卵の殻を洗い流したっけ、懐かしい。
しみじみとしていると、気持ちが伝わったのかチマがきゅーっと鳴いて、オレの手にすりすりと頬擦りした。
うんうん、オマエが健やかに育ってくれてオレは嬉しいよ。
4/4
今日は天気が良いのでピクニック気分を味わおうとマクロコスモス研究所の公園エリアに出かけたのだが、
途中で雨が降ってきた。
施設内のカフェに避難し、店先のテラス席に座ると、チマがメニュー表を手に取りじっと見つめている。
試しにどれが良い?と聞いてみると、文字は分からなくとも写真は分かるみたいでプリンを指差した。
チキは?と聞くと首を傾げた後チマと同じプリンの写真を指差す。
同じやつでいいやって言ってる風なのが人間がよくやる反応と似ていて、何だか可愛くて笑ってしまった。
二匹ともやってきたプリンをペロリと平らげた。
4/5
うとうとしているチマがオレの指をキュッと握ってきたので、空いている方の手の指でチマの背を撫で撫でしていたら、程なくして眠った。
しばらく撫で続けて籠ベッドに寝かせているとチキが来て、一緒に布団に潜り込みチマの頭を撫で始める。
チキの頭を指で撫でるとくるる、と鳴いて気持ち良さそうにする。
チマを起こさないように小声で任せたぞと伝えると、チキがサムズアップした。
オレやマクワの知らない内に色々な事を覚えているもんだ。
4/6
テーブルに置いておいた、ファンからのプレゼントの花籠にチマが入って花を愛でている。
かわいいので写真を撮った。
チマが花を指差して「ぽわわ、ぽわわ」と鳴いているので、どうやらチマ語では「花=ぽわわ」らしい。
なんだそれかわいいな。
4/7
昨日と同じように花を見つめながら「ぽわわ」と言っている。
「花=ぽわわ」説が真実味を帯びてきたぞ。
4/8
チキがどう言うのか気になったので、花の側にチマとチキを連れていってみる。
チマが花を指差してぽわわと言うのに対し、チキがこくこくと頷くが、チキが花をどう呼ぶのかは謎のままだった。
だがチキも花をぽわわと認識したのは間違いない。
そんな感じで日々元気に過ごしている。
今はソファーの背もたれの上に仲良く二匹で座って、オレがメンテナンスしている間お座りしているジュラルドンと三匹でお喋りしている。
見た目は人間を小人にしたような姿でもやっぱりポケモン、チマやチキと意思疎通するのに長けているのはオレやマクワより、オレ達のポケモン達の方だ。
楽しそうに会話しているのを見ると微笑ましいし羨ましくもある。
そんな所だな。
また近いうちに近況を報告しよう、それじゃあまたな。